感想・電子遊戯編。
SUMMON NIGHTエクステーゼ 夜明けの翼
発売元:バンプレスト 開発元:フライトプラン
対応ハード:PS2
そもそもが、同シリーズの世界設定にいちど触れてみたいと思いつつ、シミュレーション系は(自覚的に)食わず嫌いなため、過去シリーズは一切購入していなかったのですが。ちょうどウマいことアクションRPGでのタイトルが出たので、晴れて遊んでみたってのがプレイの動機であり。つっても、実は『クラフトソード物語1』なら借りて遊んだことあるんですけどねー。ともかくも、番外編的な立ち位置にある本作・エクステーゼのレビュー、いっちょいってみましょ。 とまぁ上記のとーり、購入の動機はどっちかっつーと(自分としてもめずらしい)興味本位からでして、「ぜひとも遊んでみたい!」みたいな強いアレでは無かったんですが。結果を言えば、興味本位とはいえ遊んでみて大正解。いちゲームとして本作、十二分に面白いタイトルでした。そんな本作の何が良かったって、全体的なゲーム構成の丁寧さが強く挙げられます。まずはアクションRPGとしての要素。戦闘部分はまず、手数は少ないが一撃の威力が高いパワータイプのレオンと、力は劣るが軽い身ごなしで攻撃範囲も広いテクニカルタイプのエイナとゆー、明確に性能の違う両主人公を、バトンタッチしつつ進めていく部分が案外面白い。ゲームプレイも、使用するボタン数こそ多い反面、操作そのものはカンタンお手軽。操作方法についてはゲーム進行に合わせて逐一チュートリアルで説明が入るし、そのチュートリアルもプレイ中いつでも観られるとゆー親切設計。このへん、シリーズ本編であるシミュレーションからアクションに移ってきたファンに対しての配慮が感じられますねー。そしてなにより面白いのが、シリーズのメイン要素(だよな?)である召喚獣。通常のバトル中ではいわゆる魔法の役割でしかないんですが、フィールド中では各々の召喚獣の特徴に合わせ、ギミックを解き明かしたり隠しアイテムを発見したりと、実にA-RPGらしい面白い活用がなされてる。シリーズ未体験の私ですが、それでも本作には、シリーズの特色を上手にA-RPGのスタイルに転用させている、とゆー印象が受けられますねー。 そして何より、ゲームシステム以上に魅力的なのが、本作の登場人物達。味方だろーが敵だろーが、とにかく魅力的なキャラが実に豊富。当初はあまり良い印象を持たなかったキャラでも、その背景や人物像が掘り下げられた途端に魅力が急上昇する、そんなヤツらがとにかく多いのです。なかでもイチバン良かったのが、主人公のふたりでしょうか。道中で訪れる多くの苦難のなか、「悩んでるのはお前だけじゃない」、「大変なのは私だって同じだよ」、そう言ってくれるパートナーが(文字通りに)いつも側にいてくれる、そのなんと心強いことか! ただ依存するワケじゃなく、共にある相棒のために、何より自分自身が前に向かって進むために、互いに手を取り合って旅を続けていく、そんな彼らの姿がなんとも言えないほどに素敵。そして、チャプター中に挿入される そーいったキャラクターの他にも、全編を通して感じられるのがどことない優しさ。なんつーのか、”これ”といったモノも無いんだけど、なんかそーゆう優しさみたいなのがあるんですよねー。ともかくも、登場人物や設定世界、それらゲーム全体をつつむ独特の”雰囲気”、コレこそが本作の大きな魅力なんだと思います。 んじゃあ欠点。全体的にゲーム自体が”ユルい”感じがしてどーにも。コレは別に難易度が低いとかってイミじゃ無く、なんつーのかホント、シッカリと”締まって”る部分があまり感じられんのですな。そりゃま確かに、ボタン連打だけで考え無しでも進んじまえる、ってーのはあるんですけど。そーゆーことよりも、せっかく「基本の部分」は良いモノを作ったのに、「そこから拡がるモノ」がほとんど感じられないのです。コンボを続けて進む戦闘やフィールドなどでも活用できる召喚獣、そーいった”ベース”は出来てるワリに、”そこから先”の部分がほとんど見当たらない。ここ、作り込みが甘いってよりも、どーにも”ユルい”って印象が大きいんですよねー。ホント、「基本」は良いんだから、この「基本」をもっと拡げていってほしかった。それがあったらマジで良いゲームになれたと思うんだけどなー。
夕暮れも朝日もやってこない、永遠の『白夜』が続く世界。多くの出会いのその先で、世界を駆け抜ける風となる、そんな放浪者によって描かれる、どことない優しさを抱えた冒険物語。ゲームシステム・舞台設定の、どちらを取ってもシリーズ番外編…とは言え、本作独自の確かな魅力と面白さを備えたタイトルです。シリーズファンの方も含め、ぜひともいちどお試しアレ。 |