感想・電子遊戯編。

逆転裁判

発売元:カプコン

対応ハード:GBA

世間を見回すと、このゲームのためだけにGBAを所有しているというヒトが多いような気がします。まー正直なとこ、「○○専用機」状態ってのは非常にもったいないと思うのですが(GBAというハードについては特に)、それでもやはり本作の持つ魅力の高さが存分にうかがえるハナシでもあり。てなワケでGBAの看板タイトルの一角、逆転裁判です。

真っ先に言ってしまうと、実はこういうテキスト読むタイプのゲームってあまり好きじゃないんですよ私。じーっとモニター眺めて文章読んで、合間合間でチョコっと選択肢選ぶだけってスタイルのゲームが。ノベルゲームってなんつーのか、私にはどーも肌に合わないみたいなトコがあるらしくてねぇ。”シナリオが面白い”と感じたタイトルは何作もあったけど、”ゲームとして楽しめた”ことは皆無に近いほど憶えがない。サウンドノベル系の元祖にして傑作ともいわれる『かまいたちの夜』も、私はあまり面白いと感じられなかったですしね。(※プレイしたのはGBA版。あといちおう「金のしおり」出すまで攻略しました) そんなこんなで正直なトコ、言い切ってしまえばゲームジャンルとしてノベル系は嫌いな部類なのです。

だがしかし、逆転裁判はかなりイケル。むしろ面白い。一体この差は何なのか?

考えるにこれは、ゲームが本来持ちうるインタラクティブ性が本作にはあるからじゃないか、と思うのですよ。本作、タイトルに『裁判』と銘打っているものの、その中身は純然たる推理モノ。疑わしいセリフを吐く相手に「ゆさぶり」をかけ、ここぞとばかりに「異議」を申し立てて証拠を叩きつける。推理が外れりゃペナルティ、上手くいったらシナリオが進展。クライマックスや”決め”のシーンともなれば、ドラマや映画のように二転三転して画面がバシバシ切り替わる。このインタラクティブ性は、まさにゲームでしか表現できないものだと思います。

一方ふつうのノベルゲームって、途中途中の選択肢によるフラグ操作のシステムを除いて、さほどインタラクティブ性って無いと思うんですよね。ぶっちゃけ、テキスト読んで一枚絵が変わるモニター見て・・・ってやるくらいなら小説読むよオレ、って感じで。好みの問題もあるだろうけど、ノベルゲームに対して私は”ゲームならでわ”の部分、”ゲーム性”というモノがまるで感じられないのです。でも逆転裁判には、その”なわでわ”の部分が強く、「これぞゲーム」というような感じでシッカリと確立されている。だからこそ私は「ノベルゲームは好きじゃない」けど「逆転裁判は好き」であり、そのようなタイトルだからこそ、多くのユーザーに認められる作品となったのでしょう。

んじゃ恒例の欠点挙げだけど……このゲームに欠点って、目立って見当たらないんですよねぇ。テキストの表示量がたった2行だけですが、アレはゲームシステムとの兼ね合いから計算された上でのモノだから、欠点にはならないし。話数が4話だけなのも、これまた携帯ゲーム機でのボリュームとしては悪くない分量だし。操作形態もまずまず。アクが強いどころかエキセントリックすぎる登場人物達によるシナリオは、むしろ本作の魅力だしな。強いて挙げると第4話が少々長すぎるってくらいですかね。…う〜ん、やっぱ欠点らしい欠点って無いなぁ。とはいえ、欠点が見当たらないからっつってこのゲームが寸分のスキも無い最高のタイトルだという意味ではないので、その点についてはキッチリと明言しておきたく。


そんな感じで、「異議あり!!」と言ってシナリオ(推理?)に介入していくことで、ただテキストを読むだけに留まらない”ゲーム性”を確立させたタイトル・逆転裁判。GBAユーザーならば、誰でも必ずいちどは体験してもらいたい一本です。…でもやっぱアタマでも書いたけど、逆転裁判専用機なんて聞こえはイイけど寂しすぎるよなー。せっかくハード買ったんなら、もっと他のタイトルも遊んでもらいたいよねー。いやホント。



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2005/01/24