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感想・電子遊戯編。

大神おおかみ

発売元:カプコン 開発元:クローバースタジオ

対応ハード:PS2

あー……うん、イイや、最初に言っちゃえ。自分の中ではもう、2006年上半期最強タイトルですコレ。開発開始から店頭発売までに相当の時間を要した本作ですが、いつ頃からか心待ちにし続けていて、何ひとつとして間違いは無かったと言えるほどのタイトルでした。ホント、死ぬほど面白かったね。ゲームを構成するあらゆる要素が、サイコーに素晴らしかったね。それでは、ゲーム開発会社・クローバースタジオのオリジナルタイトル第1弾である大神、勢いに乗って行かせてもらいましょー。

この作品の何がイイかって、とにかく独自の魅力がてんこ盛りなワケでして。まずひとつはやはり、日本画風な独特のグラフィックでしょう。パッと見でイチバン目につく点ですな。コレがまぁ、単純に美しい。まず初めにグラフィックありきで開発されたタイトルだけあって、ココのチカラの入れ具合は確かなものです。とりわけコレが映えるのが、イベントシーンの『大神おろし』ですね。妖気にあてられ、荒れ果て色彩を失った大地に、神様の通力で大輪の花を咲かせ、豊かな自然の息吹を取り戻す。このイベントシーンが、とかく見入ってしまうほどの美麗さ。道中で何度繰り返しても、まぁ見飽きるって事がないほどに、華やかであり何より美しいのです。

と、映像にばかりなにかと目を向けがちになる本作ですが、それ以上にゲームシステムが凄まじく良くできてる。本作のメインシステムである『筆しらべ』は、中空にササッと筆を走らせることで、時に花を咲かせたり、時に風を巻き起こしたり、時に天の昼夜を動かしたりと、本当に多彩。筆一本で森羅万象ありとあらゆる物事を操るその様は、ナルホド確かに、神様の妙技に相応しい能力とすら言えましょう。んで、コレの何が優れてるのかとゆーと、『筆しらべ』ひとつでありとあらゆるコトが実行できるという点なんです。つまり、自然を取り戻す時には「花咲のナンチャラ」みたいなアイテムが必要だとか、風を吹かせるのになんか「バショウセン」とかってのを装備しなきゃならないとか、そーゆうのが一切無い。花を咲かす時には筆業『桜花おうか』を、風を起こす時には『疾風しっぷう』を、太陽を昇らせる時には『光明こうみょう』を、それぞれの筆づかいだけで全てが可能になる。『筆しらべ』というシステムひとつに、ゲーム内で行うことのほとんどが集約しているのです。コレは本当にゲームとして画期的、かつ本作のコンセプトである「プレイヤーが神様になって様々な事を成す」とゆー点と最高に合致していて、まさに素晴らしいのひと言。だからこそ本作は、ゲームとしてとても面白いのだと、声を大にして言えるのデスよねー。

さらにもうひとつ、強く評価したい点が作中に挿入される様々な演出ですな。上記のグラフィックとも多少被るんですが…たとえば自然を取り戻したとき=何か「いいこと」を行ったとき、ソレに対しての…なんつーのか、「よくやりました」みたいな、そーゆーほめる演出が受けててとにかく気持ち良い。その点が最高にイイのが、ボス戦終了時。強大なボス妖怪を撃ち倒したあと、イッスンが「よォし、ここらで一丁、大神様の勝ち名乗りと行こうじゃねえかァ!」とか言ってくると、遊んでるコッチも「お、ひとつバシッとやっときますかっ?」って気分にさせられるワケで。そうして挿入される”締め”のムービーが、実にイイ気分で眺められる。毎回必ずやるワケじゃないですが、このお決まりをやって・コチラ側もそれに乗る、とゆー演出の流れは、どこか歌舞伎のお約束にも通ずるところがありますねー。ま、歌舞伎なんていちども観たことねーけどな(←なぜ微妙にエラそうなのか?)

あー、ココまで来たらシナリオのことも評価しちゃいましょうかねー。なんとなくオマケっぽい扱い始めですが、なんのなんの、本作はシナリオも相当の出来映えです。基本の物語は、日本伝統の神話・伝記・童話などなどを織り交ぜて形作られた、あくまでも王道的な勧善懲悪の冒険絵巻といった内容ですが。そこを取り巻く登場人物らの描かれ方、これがまたなんとも面白い。ココで言う「面白い」とは、言葉の通りに「愉快」とゆー意味です。とにかくまぁ、出てくるヤツらが片っ端から、メインも脇役も神様も果ては敵の妖怪まで、どいつもこいつもどっか一本抜けてて、それが素直に楽しく描かれている。そんな中、この物語の雰囲気を最も良くしているのはやはり、主人公とその相棒、アマテラスとイッスンの両名でしょう。いつもはポアッとしていつつ、いざの時には勇ましいその姿を見せるアマテラス。そしていつもは助平のお調子者なれど、悪の前では威勢良く啖呵を切って立ち向かうイッスン。このデコボココンビが紡ぐ物語は、最終決戦で最高潮に輝きます。この作品が一体”誰の物語”なのか、そしてこのゲームの”主人公”は何者なのか、それを目が覚めるほどにガッシリと描いてくれて、それが本当に、偽りも含みも無く素晴らしかった。なんせ、「あぁ、どんなに敵が強大だろうが、この戦いは絶対負けるワケがない」と本心から思って取り組めたラストバトルなんて、いままで憶えが無ぇもの。これはもう必見の価値あり。マジで。なんせ、私はこの決戦で涙が流れましたからね。

さて。それほどに素晴らしいタイトルではありますが、やはり欠点もあったりするもので。本作、とにかく戦闘がヌルすぎる。これ、ヌルいと言っても難易度が単純に低いってのとも違って、なんつーのか救済措置があまりにも多すぎなんですよねー。回復アイテムは簡単に拾えるし・ストックアイテムを使っての体力回復もあるし・仮に体力がゼロになっても復活が可能で、しかもこれらがいずれも大した苦労を必要としないワケで。とにかく、ゲームオーバーへの心配が限りなく無に等しいんですよね。コレはハッキリ言って、バトルの緊迫感が無いにも程がある。強烈な難易度をほこる同チーム開発の『ビューティフルジョー』シリーズと比べると、本作の限りなく一般向けな仕様は、あるイミ良い仕事をしたとも言えるんですが…このヌルさは、極端から極端に行き過ぎたよなー。あともうひとつ、ボス撃退からイベントシーンへの切り替えが早過ぎ。ボスの体力をゼロにしたら、そこからすぐさまイベントに移るんですけど、それがあまりにも”タメ”無しに移行するもんだから、ボスを倒したその達成感がビミョーに満たされないんですよねー。まぁ、コレはしょせんツッコミ程度の指摘なんですが、でも確かに気になった部分ではあったり。


――ただひとつ願いが叶うなら 昨日の自分にさようなら 変わらない想いがあるのならば いつか桜の下で―― ヤマタノオロチを打ち倒した、偉大なる剣士・イザナギと勇敢なる狼・白野威しらぬい。ナカツクニの片隅は神代かみよ村に残る、一人と一匹の「かつての伝説」。この物語は、「まだ誰も知らないお話の続き」は、かの伝説から100年後に紡がれる。いままた伝説の残る土地から立ち上る邪悪な妖気、それを払うのは蘇った大神・アマテラスとさすらいの旅絵師・イッスン。だからこれは、一人と一匹の「新しいお話」。通力宿りし神筆しんぴつがしらべにのる時、全ての妖魔は闇へ立ち去り、あまね現世うつしよは目映い太陽に照らされる……

グラフィック、ゲームシステム、劇中演出にシナリオと、あらゆる要素が最上級のクオリティで磨き上げられた、この大神というタイトル。ひとりでも多くの方々に、ぜひとも遊んでもらいたいと強く願う、それだけの価値のある作品だと私は思っています。「まだ誰も知らないお話」を伝える語り部とは一体誰なのか、どうぞ皆様にも知っていただきたい。…ま、ゲーム画面の”ある部分”にチョイと注目すれば、すぐに気付くんですけどねー(笑)



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2006/06/13