感想・電子遊戯編。

MOTHER1+2

発売元:任天堂 開発元:HAL研

対応ハード:GBA

本作のレビューを始める前に、個人的にひとつ明示しておきたいことがある。まず、それぞれのオリジナル版でのプレイ経験は私には無かった、ということ。そして、私が本作のラストバトルの”カギ”を(1・2共に)プレイする以前から知っていた、ということだ。………あー、どっか遠くのプレイ経験者からの「バカか貴様は?!って罵声が聞こえるなー(笑) ともかくも、そんな前置きからレビューに入るとしよう。

あるヒト曰く、「人生最高のRPG」。曰く、「永遠に心に残る名作」。このMOTHERというゲームには、とかくこのような賞賛の言葉が印象にある。曰く、「一生いちどはやるべきゲーム」とも。

まずMOTHER1。透明感を持った曲をバックに、回る地球のアニメーションで飾られたタイトル画面。ゲームスタート時、キャラ名選択の終わりに唐突に尋ねられる「すきなたべもの」。開始して一番最初の敵は「でんきスタンド」だ。誰もが思うだろう、コイツは普通のゲームと違う、と。その先も、数多くの出来事と出会いが待ち受ける。各地に散らばる「8つのメロディ」。フィールドの敵は、オバサンだったり自動車だったり。不可思議な中にもどこか懐かしさを憶えるマジカント。長い道のりの向こうに出会う3人の「友達」。ストーリー中盤で唐突に、ゲームの中から(!)プレイヤーあなたの名前を尋ねられる。どこか薄ら寒いBGMの流れる大人の消えた町・イースターでは、赤ん坊から新たなPSIを教わり。すべてのメロディが集まったとき明かされる、オープニングからも伏線を張られていた物語の真実。ついにたどり着いたH・L・マウンテンの頂。最後に戦う相手・ギーグの正体、それは――

そしてMOTHER2。1とはうって変わって、軽快な中に勇ましさも感じる曲で装飾されたタイトル。オネットの街に隕石が落ちてきたことから、未来からやってきたというブンブーンが伝えた事実から、ネスの冒険は始まる。地球の現在と未来を護るため、「8つのパワースポット」を探す旅。遠くから届く”ココロへの問いかけ”により、3人の「友達」とネスは出会う。サターンバレーで救ったどせいさんには、感謝のコーヒーを振る舞われ。大都市フォーサイドから到るは狂気のムーンサイド。地底大陸には恐竜すら歩いていて。「8つの場所」のその向こう、マジカントでネスは、ネス自身と戦い、ネス自身と会話をし。驚愕の”選択”を経て、彼らはギーグの元へとゆく。そこで待ちかまえていたのは――

物語はいちど置いて、ゲーム自体の感想をしよう。1は、正直なところ良いゲームとは言えない。各種PSIの効果については説明書にだってほとんど書かれて無いし、全体的なバランス自体がなにかと悪い。とりわけラストダンジョンのH・L・マウンテンは、道のりがやたら長いし、敵は途中からイキナリ強くなるしで、無茶苦茶だ。「FC時代のゲームだし」と言ってしまえばそれまでだが、”いまどきのゲーム”としてコレはダメだろう。うって変わって2は、ゲームバランスも実に良好。ゲーム画面やBGMも良い出来だが、なかでも戦闘部分に魅力が満載している。ドラムロール方式のHPカウントシステムは、戦い方次第で戦闘不能も回避できるという面白さがある。万華鏡風の戦闘背景と、モザイクタイルのような各画面エフェクトも、オリジナリティが高く観ているだけでも楽しめる。とりわけ私が2で評価しているのは、マジカント後のとあるイベント。マンガなんかで良くある「突然主人公が超絶パワーアップ!」とかゆー”ソレ”を、ストーリーとシステムから見ても非常に納得できるカタチでゲームの中で行った、という部分で、とにっかく感心させられたものだ。

話題を、再びストーリー側に戻そう。1・2のどちらとも、強くプレイヤーの心に残るのはラストバトルではないかと思うのだ。(私はとっくにセルフでやっていた(←笑))ネタバレを避けるため、多くは語れないが……少なくとも経験者ならば、いくらかの共感を得てくれるコトと思う。とりわけ2の決戦、とエンディング。「たたかいがおわった」その直後の画面を観て私は、知識として分かって・知っていたにも関わらず、後頭部を思いっきりぶん殴られたような衝撃に身を包まれた。それ程までに心を揺さぶる”何か”が、このゲームにはあったのだ。


「一生いちどはやるべきゲーム」とさえ評される、MOTHERというRPG。GBAにてワンパッケージに納められた本作をプレイしてみて…改めて正直なところを明かせば、私にはそこまで強く言えるゲームではなかった。「とても面白い、強く心に残るゲームの、数ある中のひとつ」、それが本作に対する率直な感想だ。だが、これだけはハッキリと言える。「いちど遊んでおいて絶対に損をしないゲーム」だ、と。

摩訶不思議なストーリーに、風変わりなゲームシステムをのせたRPG。様々な地を巡り、数多くの人達と出会い、8つの音を集めてPSIココロのチカラでたたかう少年達の紡ぐ冒険物語。糸井重里さんが贈る、どこか心暖かなこのゲーム。もういちど言わせてもらいましょう、いちど遊んでおいて絶対に損をしない。



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2005/04/18