感想・電子遊戯編。

メテオス

発売元:バンダイ 開発元:Qエンタテインメント

対応ハード:DS

カービィシリーズの生みの親・桜井政博さんが、独立後に初めて手がけたオリジナルタイトル作品。ソレこそがこのメテオス。パズルものとして世に現れたこのゲーム、コイツがなんとも、そこいらのパズルゲームとはひと味もふた味も違うクセモノだったのです。といったワケで今回のレビューでは、本作の持つ独自のポイントを、要素ごとに分類して挙げていきましょー。

◆メテオは消えずに打ち上がる
 まず第一のキモはコレ。通常のパズルゲームだと色をそろえたブロックはその場でシュポンと消滅するところが、なんとドッコイ本作では、そろえたメテオはそのまま上空へ打ち上がる。コレがなんとも愉快で気持ちイイ。プレイ当初に感じるコトが、この「打ち上がる」という部分のバカバカしさです。ズゴゴゴっと宇宙そらへ上がってゆくメテオの絵面の、なんとも実にシュールなことか。ソレにも慣れたころ感じるのが、大量のメテオを打ち上げる際のミョ〜な爽快感。連続点火とドッキングによって全消しを決めたときなどは、いわゆる「大連鎖」を組んだときともまた違う、独特のスッキリした気分に浸れます。

◆パズルゲーム史上最大スケールの物語
 本作のバックストーリーは、「いち惑星人種が、銀河の驚異にして全ての元凶となった惑星メテオスに敢然と立ち向かう」、という一大スペースオペラなのです。いやマジで。さらにはゲーム中の対戦は、「銀河に漂う惑星に住まう者達が、おのれの星の存続を賭け互いにメテオを打ち返しあう」、という設定。いまだかつて、これほどまでに壮大なスケールの背景を持ったパズルゲームがあっただろうか。いや無い。私なんか、CP対戦で敵惑星から”ボカーン”という音が聞こえるたびに「嗚呼、また宇宙の何処かで星がひとつ滅びたのか…」などとムダに規模のデカい妄想をひろげていたほどですからねー。

◆惑星違えばスタイル違う
 そんな本作の惑星は、全部で32種類の星々からなるワケですが。これら惑星それぞれが、メテオの落下・上昇の感覚は違うわ、落ちてくるメテオの種類は違うわ、さらにはフィールドの”幅”さえも違うわと、とにかく千差万別なコトこの上無し。とりわけ『グラビトール』や『ヘブンズドア』などは、根本的なルールすら別物じゃねえかと思えるほど、独自色の強い惑星だったりします。さすがに32種もあると似通った惑星なんかもポツポツ存在しますが…でも、これだけ個性的な”キャラ”に溢れたパズルゲームというのも、なかなか類を見ないことは事実でありましょう。

◆メテオは飛ばして素材に換えろ
 通常のパズルゲームで消したブロックは、単に得点にしかならないモノですよね。ところがドッコイ本作では(←2回目だなぁ)、得点になる以外にも惑星やサウンドテストの楽曲、あるいはプレイ中のアイテムを合成するための素材としてストックされるのです。これぞメテオスの大きなキモのふたつ目。これまではタダ消しっぱなしだったブロックが、本作ではゲーム要素を拡げるための価値あるモノにまでランクアップされている。「火炎メテオあかブロックが余ってるから、今日は電気メテオきいろブロックを溜めよう」なんていうプレイスタイルは、間違いなく本作でしか見られないモノだと言えましょう。

◆ノンストップでひたすら動かせ
 本作では、たとえ連鎖(連続点火)中であろうとも、操作を止めて画面を眺めるなどという行為は御法度です。一カ所メテオをそろえたら、立ち止まることなくすぐさま次の着火点を探してそろえる、そしてまた次へ。これがメテオスの基本プレイなのです。通常のパズルゲームなら大体存在する、「操作を一瞬休む間」というモノがほとんど無い。スタート直後からつねに、画面の隅々まで目を配り、絶えずタッチペンを動かし続ける。このせわしなさがまた、本作の中毒性を高めている要素のひとつです。

◆つねに出てくる同色3個
 たとえば「なんでさっきからテトリス棒が出ねぇんだよ!」とか「だから赤ぷよじゃなくて青を寄こせぇ!」などといった経験、アナタにはないでしょうか? このブロックが来なかったばかりにゲームオーバーになった、いわゆる”ツモ”の悪さによる”手詰まり”という状況ですね。なんと本作にはこの”手詰まり”が存在しません。”ピピッ”と鳴ってタテ一列が詰まった、まさにゲームオーバー目前!…というとき、その一列には必ず同色のメテオが3つ配置されています。最初この状況が発生したときはタダの偶然かと思っていたんですが、その後プレイを繰り返しても毎回そのようになっていたため、どーやら偶然とは違う模様。これは正直パズルゲームとしてすさまじく画期的なことでしょう。なんせ、ゲームオーバーが絶対間違いなくプレイヤーの責任になるんですから。


そんなこんなで、いままでのパズルゲームには類を見ない要素盛りだくさんな本作。…ですがやはり、決して良い部分ばかりでは無いというのも事実なワケでして。

◆イマイチ良くない操作系
 タッチペンでメテオを高速に動かしまくる、というのが本作の操作系の特色なのですが…このインターフェイスがビミョーな部分でいまひとつだったりしまして。というのも、メテオが上手く選択できずにしょっちゅうミスタッチが起こってしまうのです。このミスタッチ、プレイ初心時はもとより、相当に慣れてきた頃でもワリと頻繁に起こしてしまう。コレ、どーもメテオのサイズが小さいせい、とゆーよりも、DS本体に付属してるタッチペンの長さに問題があるような気がします。だから、ソフト価格を少し上げてでも、もう少し扱いやすいオリジナルタッチペンを同梱してくれたら解消したんじゃなかろうか、などと思ってしまったり。メテオのサイズを変えると、全体的なゲームバランスがまた変わっちゃうしなー。だからやっぱココは、ペンの方で工夫してほしかったかなー。あともひとつ、コッチは完全にただのイチャモンなんですが、十字キーベースの操作系は必要無かった。だって、コッチの操作で遊ぶヒトなんて、ほとんどゼロに等しいだろー。開発当初の名残、ったってなぁ…(苦笑)


かようにして、様々な面が新しい、ともすればパズルゲームかどうかさえアヤシいプレイ感覚を持ったゲーム、それがこのメテオス。耳障り良いBGMと効果音の流れる中、激しく降り注ぐ大量のメテオをあやつり、さぁみんなで宇宙の驚異をやっつけるのだ! 惑星戦艦メタモアークに乗り込んで、にくいアンチクショウのもとまでたどり着くのだ!
おのれ メ テ オ ス め ぇ !!(←最後ジオライト語で)



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2005/04/29