感想・電子遊戯編。

Ever17 the out of infinity
Premium Edition

発売元:サクセス(SuperLite2000版) 開発元:キッド

対応ハード:PS2

何はともあれレビュー本文に入る前に、本作をオススメしてくれた有形無形のすべての方々に向けて、月よりも高く海よりも深い感謝の意を。素晴らしいゲームの紹介、まことにありがとうございました。それではEver17、サクセス発売による廉価版でのプレイレビューに、いざイザ突入いたしましょっ!!

本作をプレイするより前に、私が知っていたことと言えば…それは、どのサイトを見ても、本作が問答無用で高評価されていた、とゆーこと。んで、プレイを終えて改めて思ったのは、ナルホド手放しで名作と評されるワケだ、というハッキリとした思い。そんなワケで、正直に言わせてもらいましょう。コレはぜひともやっといた方が良い。…や、私みたいなヤツがこーゆー率直な物言いするのはかなりめずらしいんですけど、ともかくも本作には確かに、そう言ってしまえるだけの”モノ”があります。とはいえ、ホントにソレで済ませちまうのはあまりに盲目的&左に習え状態なので、きちんと自己流に感想を並べながら評価してきましょーかね。

手始めに、”ゲームそのもの”としての評価をば。本作で本当に感心させられたこと、それはユーザビリティーがとても充実しているということです。通常のセーブファイル数が多いのはまぁ当然として、それとは別のクイックセーブ・ロードがとても扱いやすく便利に機能しているおかげで、プレイ進行の行ったり・来たりがかなり快適。他にもセーブ関連で言えば、ショートカットなんてのがまた、途中からの再プレイに”もってこい”の要素。ゲーム進行そのものも、スキップがとてもシッカリ管理されているから、繰り返すにしても読み飛ばしの心配がまるっきり無用。操作系も何気に、片手プレイのための配慮が行き届いているのが高得点。実際ワタクシ、全体の6割強を左手だけで進めてましたから。コレでもぜんぜん苦にならねーんだなー、コレが(笑) なにぶん当方、こーいったノベルアドベンチャー系は(コンシューマ、PC含めて)ほとんど嗜まない人間なため、勉強足らずの物知らずなんですが…最近の同ジャンルはどれも、これくらい”遊び勝手”が充実してるモンなのか? もしそーなんだったらオレ、コンシューマのN-ADVに関してなら、もうチョイ”食わず嫌い”を正しても良いかもしれんなぁ。ともかくもこのユーザビリティーは、素直に評価してしかるべき充実度です。

なーんかシステム的な評価になっちまいましたねぇ(苦笑) それはさておき。本作で”ゲームそのもの”として絶対的に推しておきたい部分、それはズバリ本作の物語の内容そのもの。私がN-ADVをあまり好きじゃない理由に、「ゲームを名乗るクセに読む事しかさせてくれないその煩わしさ」ってのがあったりしまして。よーするに、ただひたすら読ませてたまに選択肢選ばすだけ…なんだったら小説でも読ませろよ、と言いたいワケで。ところがドッコイ本作は、その点アプローチがひと味違う。このストーリー構成・作品プロットは、”ゲーム”という表現形態でないと実現できません。小説なんかじゃ絶対不可能…でも無いとは思うんですが、少なくとも「まったく同じモノ」を提供するのはムリでしょうね。「選択肢を選ぶという行為」に意味(理由?)を持たせたN-ADVなんて、他にゃ知らんぞオレ。さすがにゲームが本来持つインタラクティブ性こそ弱くはありますが、ソコを除けば真っ当正直に、ゲームとしてすこぶる良くできた作品だと言えます。

んじゃいちおう、毎度のごとくで欠点をあげておきますかねー。まずひとつめ、ボイスの録音レベルがたまに狂ったりするのはナニゴト? 同じ流れ上のセリフなのに時折、声が明らかに変に聞こえるときがあるんですが。録音の時点で失敗してるのか、はたまた編集の最中にミスったのか。あともうひとつ、立ち絵のパターンがチョイと少なくはありませんかね。場面によっては、出てる表情とセリフとがイマイチかち合って無いことがあるのよねー。なもんだから、シーンによってはあえて画面観ないでセリフだけに目ぇ向けてたことがあったくらい。って…あげといてなんだけど、やっぱコレ、欠点ってよりかイチャモンと苦言だよなー。でも、この2点がかなり気になったことは、私には事実なんですよね。

さて。いつもの習いじゃこのへんでそろそろレビューを締める頃合いですが、まーだ続けますよぉ(笑)  続けては、まだ本作を未体験なヒト向けに、Ever17の推奨プレイスタイルを提供してみたいと思います。…おっと、「なに余計なお世話を…」なんて言わず、ここはチョイとおつきあい。

1)事前情報は限りなく収集しないようにすること。本作のプレイに際する基本中の基本である。ある種そーゆー意味ではこのレビュー自体読むべきでは無いのだが、まぁソコはご愛敬である。いちおうそのへんは、できる限り注意して書いてるのでね。

2)まずはフツーに読み進めるべし。初回の進行については気の向くままに選択肢を選び、流れに身を任せたまま、アナタのやり方で第一のエンディングに到達してもらいたい。あえてひと言加えるなら、最初のプレイは「たけし視点」で進めた方が良いかも、である。

3)攻略サイトも活用しつつクリアーリストを埋めよう。もちろん、最初っからソレに頼るのはあまり良くは無いが、クリアーリストを2〜3埋めてからなら、むしろそれらのフローチャートを活用した方が得策。少し検索をかければ、目的のサイトは簡単に見つかる。

4)バッドエンドは逐次回収していくべし。本作にはグッド・バッド・エピローグの3種のエンディングが用意されているのだが。このうちバッドエンドは、いずれもすさまじくけったくその悪い展開であるため(注:誉め言葉、まとめて見ることはなるべく避け、途中途中で拾っていくのが賢明。

5)存分に推測をたてて最終シナリオに挑め。最終シナリオが発生した頃には、アナタは数多くの謎・問題に対して推理を巡らせていることだろう。それらには、可能な限りの論理的思考をもってして立ち合うべし。本作のあらゆる「謎」には、明確な「手がかり」による説得力ある「解答」が用意されている。

6)クライマックスで明かされる物語の「真相」に驚くべし。もしもアナタが論理的推理を高度に展開できる人間ならば、それより前に、真相に気付くことはできるかもしれない。だがしかし推奨プレイとして、あえて私からは「騙されておけ」と言わせてもらおう。

7)ノンストップで最後までを見届けるべし。クライマックスからエピローグまでの展開は、実はけっこう長い。そして普通の人間ならば、クライマックスから先はもう止められないこと受けあいである。よって、「もうすぐ真相が近いかな?」と思ったらいちど中断し、ラストまで進められるよう時間的余裕を大きく取ってから、改めて再開した方が良い。

――以上、私なりの推奨プレイスタイルです。まぁ、あーだこーだと言ったところで、やっぱり各プレイヤーが”自分なり”に進めるのが最良であるのは確かなんですがね。そうは言いつつ、我ながら4と7は何気にナイスなアドバイスだと思っとったり。ま、参考程度までにどーぞどーぞ。


物語中でたびたび現れる、象徴のような「17」という数字。その17に”理由”は無い。だがしかし、あの17には”意味”がある。Ever17は、倉成くらなり武と少年、2人を主人公とした物語。彼らを導くのはプレイヤーであるアナタ自身。無数に繰り返すループを経て、やがて誰かに真相は明かされる。囚われた彼らを解き放つため、17mの階層に隔てられた海洋テーマパーク・LeMUレミュウの中、深くも暗い海の底へと、アナタの視点は啓かれる――

本作で広げられるのは、幾重にも積み重ねられた高度な論理的展開と、ほんのひとかけらのご都合主義。だけどこれらは全て、紛れもない「お望みどおりの結末」。真実の向こうにある”Everいつかの17”のその意味… このゲームはきっと、触れたアナタの心に残す”モノ”を与えてくれるハズです。青く澄み切った空のもとに並んだその笑顔を、本作を見て得られるあの感動を、ぜひとも皆様に。



<<ゲームレビュー


2005/07/31