感想・電子遊戯編。

ANUBISアヌビス ZONE OF THE ENDERS
SPECIAL EDITION

発売元:コナミ

対応ハード:PS2

もとはといえば、まだPS2も持っていなかったころ、ファミ通WAVE・DVDに収録されていたムービーを観てズビッとココロ惹かれたのがコトの始まり。当時からもう…かれこれ2年は過ぎたでしょうか?、ようやくPS2も所有し、本作を遊べる身分になったワケでして。あぁそーか、「はいだら」ってそこのセリフだったのか。(←2年越しでついに知る真相) そんな感じでアヌビス・ZOE、この度はスペシャルエディション版にてレビューしましょっ。

さてさて。長きにわたって心に留め続けていて、果たしてその片思い(笑)は正解だったのか否か? 結論から言えば大正解。もーホント、「ハイスピードロボットアクション」の売り文句はダテじゃなかった。2年強の片思いはムダにならずに済み、ひと安心です。そんな本作の美点をひと言で表現すると、”ハッタリ”が利きまくっている、というトコロでしょうか。華麗にして豪快な動きによる自機操作が彩る開放感、無数のザコをロックオンレーザーで撃ち抜く爽快感、チャージショットやサブウェポンによる強力な一撃をぶち込む圧倒感、絶え間ないブレードでの連撃が織り成す疾走感、捕獲した敵機を振るい投げ飛ばして蹴散らしていく優越感etcetc… 後方視点に留まらず自由自在に立ち回るカメラ演出によって生まれる浮遊感も含め、これらゲーム全体の演出その他が作り出す、(好意的意味での)ハッタリが作り出すハイレベル・ハイスピードなアクション感覚が、なんともたまりません。

「SFロボット物」としての側面からも、未来の火星というストーリー舞台や、SFらしいギミックの利いた各種世界設定がとてもヨロシイ。機体AIと会話しながら繰り広げる戦闘アクション、なんてーのもアリ。基本的にワタクシ、SFなんざハッタリ利かせてナンボみたいな考えなものでして。この作品世界のSFはその点でもまた非常に心地よく、ゲーム以外の要素でも相当楽しめました。そんなこんなの「気持ちいいハッタリ」をいちばん堪能できるのが、本編クリアー後のEXミッションにある『サバイバル』でしょうか。そこでの戦闘シーンを描写するなら……――


 前方上空から迫る敵影、ユニット数は4機。敵が戦闘距離に到達する。戦闘開始だ。先手を打つため左方向にダッシュ、同時にターゲットロック、シュート。帯を引いて降り注ぐホーミングレーザーが敵機を揺らす。ショットで牽制しつつ前方へ疾走。近接距離、達すると同時にブレードを一閃。爆散する機体。AI・エイダが告げる、「敵 ETR反応消滅」 スティックを押し込みリアクション、「よし、次!」 生き残りの一機を捕捉。素早く側面に回り込み、腕を伸ばして捕獲。迫り来るもう一体に、掴んだ敵ユニットを振り回す。激しい衝突音が響き同時に2体を破壊。距離を取る最後の一体をロックしつつエネルギーチャージ。存分に威力を高めたバーストショットは、無傷の敵ユニットをただの一発で鉄屑へと変えた。敵の全滅を確認…しつつも周囲への警戒はおこたらない。リングレーダーに反応。警告、「敵 増援確認」「何機で来ても同じだ!」 左方上空9オクロック・ハイからの急速接近。衝撃。敵機の体当たり攻撃。反撃のショット、しかし防がれる。いったん距離を取って。赤色警告レッドアラート。油断。集中砲火。大ダメージ。「ダメージ75%オーバー」 「痛くもかゆくもねえ!」 いたいです 回避。捕捉。ホーミングレーザー。疾走。接近。グラブ。投擲。破壊。ガード。接近。斬激。ダッシュ。旋回。上昇。ショット。増援。止まらず。動く。空へ。加速。薙ぐ。放つ。捉える。巡る。払う。穿つ。奪う。迫る。斬れ。撃て。掴め。揮え。刻め 貫け 握れ 疾れ 倒せ 蹴散らせ 壊せ 斃せ 捕捉 加速 攻撃 撃退 斬 惨 撃 檄 掴 摑 揮 棄 破壊破壊破壊破壊破kてl;d5tわhqぶwbhっp@qw2m!!!!!









しばらくお待ちください









……といったような、おのれのプレイに酔える快感が味わえる、そんなゲームなのデSU代?!(←まだ目の焦点がオカシイ)

ですが…そんな本作、悲しいかな美点の影に欠点もあり。この欠点っつーのもひと言で表現できまして、言ってしまえば何事についてもやらせすぎ。まず先に挙げるべきなのが操作形体。本作、PS2のボタン・マルバツ4つ&LR4つの全部を使います。さらに言えば、ボタンに加えてアナログスティック2本に十字キーさえも使わせようとする始末。もっとも実際にはあまり使わない(使わなくてもいい)ボタンもある…んですが、それでも使用すべきボタン数が多すぎる。このヒジョーに取っつきの悪い操作系が、本作の”しきい”をムダに上げてしまってるワケでして。

そして次のポイントは、各ステージのミッション内容。例えば…「ボスを壁のバリアに突き飛ばして、シビレてる間に攻撃しろ! ただしバリアは自機にも反応するので、移動と立ち位置にはつねに注意してネ!」とゆーのがありまして。ボスの猛攻撃をかいくぐりつつ突き飛ばすってだけでもタイヘンなのに、さらに周辺の壁にも気を配らなきゃならんとゆーこの状況。なんかもう「ボス、決して走らず急いで歩いてきてそして早く僕らを助けて」と言われてるような感覚に陥ります。ひと言いわせてくれ。「やれることが多い」のと「やることが多い」のとはまったく別物なのよ? ホント本作、これらの”やらせすぎ”な部分さえ無けりゃ大型ヒットも狙えたかもしれない可能性を感じただけに、欠点が惜しくて仕方ありません。あーもう、せめて操作系だけでも、もうチョイ簡単だったらな〜… 操作形体そのものの難度だけはもう、ゲームの根本的な馴染みやすさに直で響いてくっからな〜……


叡智の大天使メタトロン〉が生み出した最強の機体・〈魂を推し量る神アヌビス〉。それと対を成す存在こそが〈真実を監視する神ジェフティ〉。運命に導かれるようにジェフティに乗り込んだThe 2nd Runnerディンゴ・イーグリットは、自らの過去に決着を付けるべく、決戦の地・〈魂を喰らうものアーマーン〉へ望む。さながらその戦いは、魂の裁定にも似て… アヌビス・ZOE。これは未来の時代、世の果てに在る者達ZONE OF THE ENDERSが紡ぐ、”魂”の解放の物語――

重力を越える開放感、宙を翔る爽快感、神の名を持つ巨人オービタルフレームを操る感覚を存分に楽しめる本作、ぜひ一度お試しあれ。



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2005/03/09